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2005.07.13

傍聴者で、すし詰め状態の総務常任委員会(7/12)

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★ 12日、総務常任委員会で、法的な論点が明確に ★
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 約40名の傍聴者がつめかけ、委員会室は寿司詰めの状態の中で審議されました。
 11日の本会議では、市は法的根拠をあいまいにする不明確な答弁に終始しましたが、総務常任委員会は、森池・河崎市議(市民クラブ)の追及の中で、かなり法的に踏み込んだ論議になりました。

【以下、市の答弁を要約します。】 (当会メンバーの筆記メモより整理。) <7/31再整理>
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 「無防備地域宣言」の解釈をめぐる西宮市の答弁で、
 自衛隊が「軍隊」であることを公言
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(1)赤十字国際委員会コンメンタール(解釈集)を西宮市が訳したものを配付。参照

(2)その内容をめぐって、
 “困難な状況”とは、「前後の文脈から判断して、政府としての機能が果たされていないような状況」「政府の機能が無くなっている状況においては、緊急避難的にそういう宣言も出来ると考える」「いわば無血開城のような抵抗しないことが前提の極限状態のもとで発せられるものであると考えている」としました。
 しかし、コンメンタールは、そこまで厳密に条件づけていませんので、柔軟に解釈できます。

 また、“軍当局”については、「(自衛隊は)国際法上は軍隊として取り扱われており、自衛官は軍隊の構成員に該当」という平成2年の中山外相答弁を引用し、軍当局にあたるとしました。
 憲法上は軍隊ではない自衛隊が、国際法上は軍隊とみなされる(みなされている)という見解です。

 さらに、「ジュネーブ条約第1追加議定書43条(軍隊)の規定でも、自衛隊は軍隊に該当する」と言い切り、加えて「49条(攻撃)の定義がある。公私を問わず敵に対しての暴力行為、防衛のための実力行使も条約上攻撃にあたる」と定義づけました。
 国は、自衛隊の海外派遣に関する論議の中で、「自衛のための最低限の武器使用は武力行使にあたらない」としてきましたが、それも国際法上は「攻撃」にあたるという見解です。国際法上「攻撃」と定義づけられることを「武力行使でない」と言えるのか。憲法上そんな行為をすることを自衛隊ができるのか、大いなる疑問です。

(3)そして、「無防備地域の4条件はすべて防衛行動」という見解を表明しました。
 無防備地域4条件の3番目は「当局又は住民による敵対行為がない」、4番目は(当局又は住民などが)「軍事行動を支援する活動をしない」です。これは、自治体や住民が行なう行動です。「防衛は国の専管事項であり自治体はできない」という答弁をしておきながら、条件の3・4番目も「防衛行動」にあたるというのは矛盾を含んでいます。
 これは、自治体による自衛隊への支援、住民の協力も[防衛行動(攻撃)]と見なされることを示しています。

(4)防衛が国の専管事項である根拠については、「自衛隊法や有事関連法はそのことを前提にした明文規定になっている」と言い逃れ、直接的な根拠を示すことができませんでした。

★憲法9条(軍隊を持たない。武力行使をしない。)から発想すると、自衛隊は国際法上軍隊である、という答弁はびっくりするものがありました。公務員がそこまで言っていいのかとも思いました。自衛隊の実態がそこまで進んでいることを示しています。

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 有事法制・国民保護法に抵触するから「条例は無理」と答弁
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(1)平和的生存権の規定(条例案第2条第1項)は、憲法前文と同じなので「不必要」との答弁を繰り返しました。
そして、平和的生存権の内容でもある条例案第2条第2項(軍事を目的にした市民権の制約や財産権の侵害、自然環境の破壊を受けることはない)について、「例えば、自衛隊法の防衛出動の規定などがある。そのような場合は財産権も侵害できる。いわゆる防衛行動のために例えば自衛隊の戦車が民地をとおってもいいというような規定がある。防衛施設を建設する際、最終的には強制収用もできる。また、一時使用についても通常以上の規制が加えられる」と踏み込んで述べました。
 これは、市民の平和的生存権を制限することを前提に、国民保護法をすすめることを、市が公の場で明らかにしたことであり、見過ごすことはできません。

(2)条例案第3条(軍事施設の建設を認めない)についても、「建築基準法において建築できるものを条例で規制するのは難しい」と答弁しました。

(3)さらに「条例案第5条(無防備地域)の4条件の実行をするうえで、自衛隊が存在し、防衛出動を行なった場合、条例と抵触する部分が出てくる。自衛隊が存在することが条例を制定するうえで抵触する部分が出てくる」と言いました。

★市民の財産を侵害することもある、ということを公言したことは、非常に大きい問題をはらんでいます。

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 一方、国民保護法の中での無防備地域の可能性について言及
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 「武力攻撃事態法により、その方針を国が策定する中で、宣言を盛り込むことも考えられる。盛り込むとすれば、国民保護法の中に盛り込むという見解が出てくる」と言及しました。
 条件付きのものですが、無防備地域宣言の可能性を述べさせたことは成果です。

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★ 平和・無防備条例が、有事法制・国民保護法への対案であることが明確に ★
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 今までの自治体の答弁から大きく踏み込んだ法的見解を西宮市が出した背景には、国とのかなりの協議・連絡があったと思われます。
 それは、有事法制・国民保護法の実施をにらんだものであることは明らかです。
 秋に連続して全国で取り組まれる無防備条例の直接請求運動をみこして、「条例が無理である」という法的見解を明確にしたと評価してもいいと思います。

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 2万の署名の重みを改めて感じた
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 委員会採決の結果は、委員11名中、賛成は2名(但し、委員長(共産)は採決に加わっていない)でした。

 しかし、蒼志会以外の会派は「署名の重さ」を発言でふれました。
 また、修正案(平和事業・予算執行を伴う部分を削除)を提出し原案に反対した明石市議(無所属)も「条例の精神は大賛成である」と述べました。
 市は「市民の熱意を重たく受けとめる」と何回ものべ、「ホームページで、市長の意見書や、市民に分かりやすい内容でPRに努めていきたい」と答弁しました。

 委員会審議は約5時間にわたりました。そのかなりの時間を使って、森池・河崎市議が市を追及しましたが、他の議員はほとんど制止しませんでした。このような委員会審議を可能にしたのは、2万名の署名の重みと、寿司詰め状態の傍聴席の市民の熱意です。

●参考資料 市が答弁の中で引用した国会答弁

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