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2006.11.29

西宮市国民保護計画(素案)に対する意見

                                 2006年11月29日
       西宮市国民保護計画(素案)に対する意見
                         西宮市に平和・無防備条例を実現する会
                          http://nishinomiya.muboubi-net.com 
(はじめに)
 日々、市民の安全安心のために尽力されていることと存じます。
 2回の西宮市国民保護協議会を当会メンバーも傍聴させていただきましたが、ホームページへの掲載が直前すぎて、広く参加を呼びかけることができませんでした。一般市民が市のホームページを年間何回観るでしょうか? もっと早く案内(当会には直接)していただきたいと思います。また、平日昼間の開催は勤労者の参加を疎外していますので、平日の夜や休日の開催にしてください。
 さて、この度のパブリックコメントですが、ホームページから計画案をすべて印刷しましたが、プリンタのインクを1本使い切りました。約1000円の出費です。計画案に目を通すだけでも、これだけの出費が必要です。いくら形式を整えても、実質的には、市民から幅広く意見を募るということになっていないことを申し上げます。つまり、アリバイのようにしかなっていないということです。希望者には全文を送付してください。

(計画素案への意見)
 さて、「計画素案」の内容についての意見です。
(1)昨年、兵庫県が主催した「国民保護フォーラム」での小川和久氏の講演においても、「着上陸攻撃」「空襲」「ミサイル攻撃」の可能性はほとんどなく、また「テロ攻撃」も兵庫県においては可能性が低いことが述べられました。これは軍事専門家の間では常識であり、新防衛大綱にも「見通しえる将来において、わが国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」と書かれています。
 しかも「計画」を作って、それが実際に役立つかどうかも疑問です。そもそも「国民保護計画」はテロを未然に防ぐのではなく、起こってからの市民の犠牲を前提とした対処です。
 「ミサイル攻撃」でも、結局は「住民は屋内に避難する」ことしか指示できません。具体的な避難計画を作成すること自体が非現実的なものであり、さらに仮に避難の必要が生じたとしても避難までの時間的余裕がないとすれば、国民保護計画そのものの名に値しないものであると言わざるを得ません。
 国立市では「戦争非協力自治体づくり研究会」で「国民保護法に基づく住民避難シミュレーション」を実施し、「備えるべきは『有事』ではなく、『平和』への日々の努力」(上原公子市長)と結論づけています。
 それでも計画を作るというなら、まず、計画の冒頭には、「武力攻撃事態の可能性が低い」ことを明記し、それでもなおかつ「計画」が必要であることを説得力のある文章で記載すべきでしょう。
(2)市の計画案で、唯一説得力のある文章は「武力攻撃の発生を未然に防ぐことが何よりも重要」です。県の国民保護計画から文章を引用されたようですが、当初の県の計画案にこの文章は入っていませんでした。この文章は県民からの強い要望で挿入されたものです。このことをふまえ、より市民の安全に密着した市として、さらに(1)「備えるべきは『有事』ではなく、『平和』への日々の努力」(2)「市として、国に対して平和的な外交政策を強く求めていく」(3)「国の外交政策の失敗によって、武力攻撃事態に至った場合は、市として国に協力しないこともありえる」と明記すべきです。
 安倍政権の閣僚が「日本の核武装を検討してもいいのではないか」と独自核武装を求めています。また、イラクの航空自衛隊やインド洋の海上自衛隊は、イラクやアフガニスタンの人々を大量に殺戮した(している)米軍などを支援し続けています。米国が世界最大の軍事力を持ちながらテロにさらされる原因をみれば、安倍政権の戦争・テロを挑発するような発言や政策をやめさせることがテロを防ぐ最大の手段です。ここにこそ「国民保護」の最大限の力を使わないといけないのです。
 具体的にどのような「平和の努力」をするのか記載していただきたいと思います。
 それに関して、市独自の判断で「避難住民の誘導」の箇所に、『ただし、武力攻撃が予測される状況においては、自衛隊による誘導は要請しないものとする。』が盛り込まれたことは積極的に評価します。これは他都市でも盛りこんでいただきたい内容です。ぜひ阪神間の市町に同様の内容を盛り込むことを提案してください。
 さらに、避難訓練に自衛隊を参加させないことも明記してください
(4)「国際人道法の的確な実施」とありますが、具体的には「特殊標章」しか記載されていません。
 (1)「西宮市の住宅地には戦争に関係するものは存在しない。その地域を攻撃対象にするのは国際法違反である」(2)「国際社会は、戦争違法化の流れを作り出し、国際人道法において『文民保護』の具体的積み上げをしてきた。市民への無差別攻撃は禁止され、軍及び軍用物と民用物を分離した街づくりを義務づけている。違反したときは、国際刑事裁判所の対象になるシステムが出来ている」(3)「西宮市平和非核都市宣言の理念は、憲法において定められた平和的生存権を保障するものである」と明記してください。
 さらに、「文民保護」「軍民分離」に関するジュネーブ諸条約の規定を全部列記し、何をしなければならないのか明記するべきです。
 「無防備地域宣言」は、被害を未然に防止するという視点からすれば、最高の「住民保護計画」です。「備えあれば憂いなし」とはまさにこのことであり、住民保護のために「無防備地域宣言」を行うことも計画に記載すべきです。「無防備地域宣言」をするためには、さまざまな条件をクリアしなければならないことから、宣言をする場合の具体的な実施計画も定めておくべきです。
(5)基本的人権に関しては、「いかなる場合も市民に協力を強制せず、思想、信条の自由を奪わない」と明記してください。
 「(市民に対して)強制にわたることがあってはならない」とありますが、具体的にどのような場合が「強制」にあたるのか明示すべきです。多くの行政官、警察、自衛隊が、措置を執行することになります。個々の執行者の判断で「これぐらいなら強制ではない」と動かれてはたまりません。「高圧的な態度」「人数の圧力」も強制です。強制しない基準を明確にし、執行者に周知する必要があります。
 他都市の計画案では「強制にわたることがないよう配慮(留意)する」という文言になっているところも多いですが、「あってはならない」と言い切っていることは評価します。その内容が現場で骨抜きにされないようにしていただきたいのです。
(6)また、「高齢者、障害のある人などへの配慮」とありますが、具体的にどのように配慮するのか書かれていません。これは防災全般に言えることですが、何か起こったときに現場で「配慮する」のは限界があります。日ごろから高齢者や障害のある人が移動しやすい環境をどう整備するのかが大切です。
 国民保護に関する経費として、今年度、約400万円が予算化され、国から補填される予定です。その内、約300万円がコンサルタント費用ですが、このような費用は、高齢者や障害がある人が移動・避難しやすいようなバリアフリー施策に回すべきです。
 それに関連して、市は障害のある人に対するガイドヘルパーを有料化しましたが、このような施策は障害のある人が外出する機会を奪い、災害時の避難にも影響を与えるものですので、見直してください。
(7)自主防災組織等やボランティア団体等に対する支援について、戦前の国家総動員体制が作られていった過程を見ればわかるように、武力攻撃事態を想定した訓練の実施は国防意識の高揚と排外主義を煽ることにつながります。歴史の教訓は、住民に組織される自主防災組織、ボランティア団体等を、武力攻撃事態を想定した訓練に参加させることが地域ぐるみの戦争協力への地ならしになることを教えてくれています。自主防災組織等やボランティア団体等を国民保護計画に組み込む案は削除してください。

(公聴会の開催について)
 当会から何度も申し入れているとおり、性急な計画づくりをせず、各地区で「公聴会」を開き、広く市民に説明し意見を聞く場を設けてくださるようお願いします。日程期限ありきの、今年度中の計画づくりに反対です。
 多治見市では、今年11月12日(日曜日)に、国民保護計画の賛成派と反対派の専門家の同時講演と、賛成派と反対派の市民代表も参加するパネルディスカッションを開催しています(市主催)。このような例を参考にしていただきたいと思います。
 なお、市民や各団体に意見を求める場合は、武力攻撃事態の可能性が低いこと、日ごろの平和的関係が何より大切であることを丁寧に説明し、危機感を煽ることがないよう特に配慮することを求めます。危機感を煽ることは、心無い者による在日外国人への攻撃を増長させることにつながる恐れがあることを肝に命じるべきです。

(国民保護協議会の構成について)
(1)自衛隊を委員から外してください。市民を自衛隊(軍隊)の動きやすいように組織することが制服組の狙っているところです。制服組は発言権を強め、日米合同演習は強化され、自治体関係者も参加しはじめています。避難訓練に自衛隊が参加するだけでなく、自衛隊(&米軍)の訓練に自治体の参加が求められることも考えられます。なお、大阪府下の守口市・大東市・門真市・交野市・柏原市・岸和田市・貝塚市・泉佐野市・泉南市・田尻町は、協議会に自衛隊を参加させていません。
(2)国際法学者や弁護士、在日外国人団体も、国民保護協議会に参加させてください。兵庫県は弁護士と在日外国人団体を委員に入れています。寝屋川市は、国際法学者の糟谷英之氏(摂南大学法学部教授)を委員にしています。
(3)動員される労働者側の意見についても反映されるようにしてください。指定事業者の経営者側は委員に入っていますが、実際に業務に従事する労働者の側が委員に入っていません。現場のことを詳しく知り、実際に現場で動く労働者の側を委員に入れるべきです。

(まとめ)
 このように「国民保護計画」は、多くの問題・疑問点をかかえています。
 よって「公聴会」の開催を、幅広く広報して開催することを求めます。
 さらに、避難訓練に自衛隊を参加させないことも明文化してください。
 文教住宅都市・西宮に自衛隊は似合いません。
 被爆や西宮空襲を体験している市民も多くいます。
 その体験こそ引き継ぐべきであり、戦争施策で一番苦しむのは一般市民です。
 市民の安全を守るため、国際人道法の精神に沿って、さらに平和施策を推進してください。

                                         以上

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